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小暮歌SS『葛藤』 

こんにちは。なぎらんです。

昨日の興奮がぜんぜん冷めません。
そんなこんなでまたもやSSができてしまいました。
歌ちゃんを連れて走っている時のお話です。

以下に隠してます。
『葛藤』


俺は何も考えずに、ただ夢野の手を引いて走った。

町には夢の扉を開かれておかしな姿に変えられた人々が溢れかえっていて、行く手を阻む。
俺は、そいつらを無我夢中で蹴散らしながら、ただ走った。


考えたら、立ち止まってしまいそうだったから。


か細い夢野の手を、思わずぎゅっと握りしめる。


あいつの所に、今、俺は夢野を連れていこうとしている。

夢野は、あいつに会ったら何って言うつもりなんだろう。
やっぱりまだ好きなんだろうか。
バイオリン野郎はどうするんだろう。
あいつはもうすっかり狂ってしまっているから、あいつの所に夢野を連れていったら、夢野があぶないのかもしれない。

でも、夢野はそれでもあいつの所に行きたがっている。


「きゃあっ!?」

掃除機みたいな姿になった奴に夢野が吸い寄せられそうになり、俺は思わず夢野の肩を抱き寄せる。

「……っ!!!」

思いも寄らず、夢野の髪の毛が俺の頬に触れ、一瞬心臓が飛び跳ねる。頭が真っ白になる。

っ……だっ……駄目だ駄目だっ!
今はそんな事に気を取られている場合じゃない。

掃除機野郎をなんとかやりすごして、再び夢野の手を取って、俺は走り出す。


あいつを説得できるのは、たぶん夢野だけだ。
だから、俺がどう思った所で、世界を救うためには夢野を連れていくしかないんだ。

それは分かっている。

でも、夢野をあいつに近づけたくない気持ちが、油断するとすぐに沸き起こってきて、胸が苦しくなる。

思わず、立ち止まりそうになる。

いっそのこと、夢野をどこか安全な所に隠してしまって、俺があいつの所に行って、一発殴って正気にさせるっていうのはどうだろうか。
そうすれば、夢野をあいつに会わせなくても、なんとかできるかもしれない。

…………。

違う。そうじゃない。


俺が今走っているのは、ただ柊を止めたいからなんじゃなくて、


夢野が、あいつに会いたがっているから。


「俺があいつの所に連れていってやる!」

自分の葛藤を振り払うために、俺は声を張り上げて叫んだ。
不安そうな目をした夢野が、そんな俺を見て、少しだけ、微笑んだ。

思わず、涙が滲む。





そして、俺たちは電波塔の真下になんとかたどり着いた。

邪魔者が次から次へと後を追ってくる。

俺は、思い切って夢野の手を、離した。


「ここは俺が引き受けた!」

夢野に叫ぶ。
夢野はうなずいて、電波塔に向かう。
その後ろ姿を、俺は建物の中に消えるまで、視界の端で、ずっと見守った。


夢野はきっと無事に帰ってくる。
俺はそう信じている。

だけど、無事に帰って来た夢野と、俺は、もう二度と、手を繋ぐことはできないかもしれないけれど。


「夢野ーーーーーーーーーーっ!」

思わず俺は叫んだ。

風の音にかき消されて、たぶんもう、俺の声は夢野には届かない。



■あとがき
無駄に小暮が可哀想でなんかほんとにすみません。
今回小暮がめっちゃ格好よかっただけに、その反面自分をピンチに追いやってるその心境はいかなるもんだったのかしらと思いめぐらした結果、こんなドロドロした話になってしまいました。

案外、もう割り切って何も考えずに走っていたような気もするし、自分の形勢が不利になるかもとかそんなみみっちいことは考えずに、ただ歌ちゃんのために頑張っていたような気もします、奴は。小暮って結構、精神的に強そうだし。

でも、もう少し自分のためにずるく立ち回ってもいいんじゃないかな、とちょっと思いますね、最近は(笑)。
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